石山離宮 五足のくつ オーナー 山﨑博文でございます。
本日、五足のくつはおかげさまで開業21周年を迎えることができました。
心より感謝申し上げます。
昨日から全国的に雨模様で、天草も止むことなくしとしとと雨が降り続いています。
その雨によって五足のくつの敷地内に繁茂する苔がとてもきれいです。
五足のくつは、天草を表現した宿ですので、すべてが天草の歴史や風土に根付いたもので造られておりますが、敷地内に配置されている石は、天草以外の熊本県内各地から持ち込んだものです。石山離宮とは、天草陶石が産出される山のことを天草では石山と言い、その石山に建つ宿であることからそのように命名したのですが、天草の石は鉄分が多く、苔が付きにくい、ということで、石だけは天草産ではなく、庭師の方々、驚くことなかれ、福岡南部からひとり、熊本市内から数人、毎日朝8時からの仕事に合わせて車に積んで石を持ってきてくださいました。その石を降ろすことから仕事が始まります。夕方帰って、また翌日の朝、片道3時間くらいは掛かるのですが、これを一年半続けて出来上がったのが五足のくつです。
最近は、石好きのお客様もよくお見えになります。恐れ多いですが、小田原の江の浦測候所のフアンの方々にこの春に何人かお越しいただきました。石の話でとても盛り上がりました。
若いころ、ジンバブエのマシンゴという巨石文明の遺跡を見に行ったことがありますが、数百年前の人たちの意思が石に乗り移って実在となっているのではなかろうか、と思ったりしたことを懐かしく思い出しました。
話は変わりますが、私は地元の氏神様を祀る神社の氏子総代会長をさせてもらっている関係で、天草郡市の総代会総会に先日初めて出席しました。出席者は数百人もいて、天草にこんなにも神社を護る人たちがいるのか、と驚きましたが、全員起立をして国歌君が代を斉唱しました。
君が代は、千代に八千代にさざれ石の巌となりて苔のむすまで
周囲を見渡すと、昨年還暦を迎えた私が最年少のようでした。老齢期を天草で生きていらっしゃる皆さんそれぞれのさざれ石にも思いを馳せながら歌われたのだろう、と私は思い、平和な気持ちになりました。
21年前の開業の日に私は、「天草に生まれてよかった」と何度も心の中で繰り返しました。そして今、このおめでたい日に、あらためて年相応のことを述べてみたいと思います。
「どうか私の意思が、五足のくつのこの見慣れた風景を形作る大事な大事な石たちに浸み込むまで日々を丁寧に生きていきたい」
今後ともお引き立ていただきますようお願い申し上げます。
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